口を開けると顎がカクカクする?
口を開けると顎がカクカクする場合、顎関節症(がくかんせつしょう)が疑われます。
あごの関節は左右一対で下あごを動かすときに使います。耳の少し前あたりに位置します。
上顎の骨のくぼみ(関節窩)と下顎の突起(下顎頭)が蝶番のようになっており、間に関節円盤と呼ばれるクッションの役割をする線維性組織があります。
何らかの原因でこの関節円盤がズレてしまうとカクカク音がし、状況によってはミシミシと音がするようになります。
更に悪化すると、口が開きにくくなる場合もありますので、歯科医院を受診されることをお勧めします。
顎がカクカクする人の特徴と原因
片側で噛む癖がある
長期的に片側で噛む癖を抱えることで顎関節の動きに左右差が生じ、よく使われる方の顎関節は疲弊してしまいます。食事の際は右左を意識して噛むことはほぼありませんので、片側で噛む癖は自覚しづらいものです。
まずは、ご自分の噛み癖に注意を向けてみましょう。
片側で噛む癖がある場合は左右均等に噛むようにすることが大切です。
顎に負担のかかる姿勢を長時間している
顎に負担がかかり続けると顎関節に悪影響がおよび痛みが出る場合もあります。
頬づえ、うつぶせ寝、就寝時の高い枕の使用、長時間の噛みしめながらのデスクワークには注意しましょう。
スキューバダイビング、フルート・トロンボーン・バイオリンなどの楽器の長時間演奏も顎の関節に負荷がかかります。
歯列接触癖
TCH(Tooth contacting habit)がある
無意識に持続して上下の歯を接触させる癖のことです。
通常では、人の上下の歯が接触するのは食事の時だけで、1日17分と言われています。
食事以外の時間は、口が閉じていても上下の歯を2~3㎜離しているので咀嚼筋(噛む時に使う筋肉)は緩んだ状態で顎関節に負荷はかかりません。
しかし、長時間、TCHを行っていると咀嚼筋は緊張や疲労し、顎関節への負荷は増え顎関節症が悪化するといわれています。
日常では以下の場面でTCHを無意識に行っている場合が多いようです。
- 精神的ストレスがある
- スマホ・パソコン操作
- 精密作業
- 家事
- テレビ、ゲーム
歯根破折
歯ぎしりも顎の関節に大きな負荷をかけるので、顎関節に悪影響が及びます。
しかし、睡眠時の歯ぎしりは自分ではどうすることもできませんので歯科医院の受診が必要です。
顎がカクカクする場合の検査
視診、触診、レントゲン検査により、以下の項目を調べていきます。
- 口が少ししか開かない(クローズド・ロック):関節円板の状態
- 口を開閉する時の音の種類:関節雑音
- 口がどこまで開くか:最大開口量
- 安静時の顎の位置:円板静整位下顎位
- 痛みの状況
- 下顎頭の変形
専門用語が並びましたが様々なことを調べる必要があるとご理解ください。
顎がカクカクする場合の治療法
生活習慣の見直し
原因があって症状が出ているので、まずは原因を調べ意識し習慣を少しずつ変えていく事から始めましょう。
片側噛み、姿勢、TCH(歯の接触癖)、歯ぎしりなどの習慣をご自分で意識することが大変重要です。
無意識に行っている事がほとんどなので、「まさか自分が、そんな癖を?」と思われるでしょう。
しかし、歯のすり減りや、頬・舌の圧痕(噛みしめ跡)、骨の隆起、顎関節のレントゲン像などにその兆候が
でていますので歯科医院での説明をしっかり聞きましょう。
運動療法
一般に、円盤整位置運動療法、ストレッチ療法、マッサージ療法を家庭で行っていただくケースが多いです。
スプリント療法(マウスピース)
状況に応じて下顎前方整位スプリントやスタビリゼイションスプリントを使い関節円盤が元の位置に戻りやすいようにしたり、顎関節の安静を図ったりします。
顎がカクカクする時にやってはいけないこと
長時間ガムを噛む
ガム程度のものでも、長時間噛み続けることが習慣になっていると顎関節は疲弊します。
硬い食べ物を食べる
フランスパン、スルメイカには特に注意しましょう。
市販のマウスピースを使い自分で治そうとする
市販のマウスピースはスポーツによる外傷の予防が目的であり、顎関節症の治療には適していません。